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パラレルワールドの乗客・都電編 [妄想選]

今日、打ち合わせの帰り、都電に乗った。
中途、坊主刈りの青年が乗ってきて、いきなり先頭のシルバーシートに座った。
都電というのはバス同様、下りたい人がボタンを押して知らせる仕組み。
青年は次の駅がコールされると、ボタンを押した。駅に到着。しかし下りる気配なし。代わりに頭をブンブン振っていた。次の駅でも同様。その次でも、またその次でも、ボタンを押しては頭を横にブンブン振るのみ。

彼の考えていることを想像してみた。

駅名のアナウンス→「あっ! 下りなきゃ!!」→ボタンを押す→駅に到着→窓から外を見る→「違う、違う、ここじゃないじゃん! 俺ってば!!」→電車走り出す→駅名のアナウンス→「あっ! 下りなきゃ!!」→……(以下、くり返し)

なんか、抱きしめたくなった。

何駅か過ぎた後、今度は車いすの青年が電車に乗ろうとした。駅員が手伝おうと乗り出すと青年は「大丈夫、大丈夫」と言い、後部出口付近の車いすスペースに軽々と乗り込んだ。いつも都電を利用している様子。

車内は結構混雑してきた。次は俺の降りる駅。もちろん、俺がボタンを押す必要はない。彼が瞬時に押してくれたから。

彼はやはり下りない。心の中で彼に「俺も子供の頃はバスのボタンを誰よりも先に押して喜んでいたよ。思う存分、楽しみな。アディオス」と別れを告げて出ようとした刹那、車いすの青年が彼に向かって叫んだのである。

「ハツ! てめぇ、下りねぇのにボタン押してんじゃねぇよ! ぶっ殺すぞ!!」

満員の乗客全員ドン引き。恐ぇ〜、マジ、恐ぇ〜……ん!? つーか、彼の名前呼んでいたよね? えーと、知り合い? 友だち?

帰り道、友だちである彼らが一緒に遊んでいるところを想像してみた。

広〜い野原。頭をブンブンさせながらハツが走っていく。それを「てめぇ、待てよ! ぶっ殺すぞ!!」って叫びながら追いかける車いすの青年。「そうだ! そうだ!!」って言いながら走って近づき、車いすを猛ダッシュで押すミツ。「てめぇ! 何してんだよ! 危ねぇだろ!!」と車いすの青年。「アハハッ! ビビってんのかよ!!」とミツ。すると頭を振りすぎたのかハツがフラフラになって倒れた。そこに勢い余って激突。車いすに乗っていた青年は飛び出した。続いてミツの押していた車いすがハツの上に乗っかった。
ポッコン。
「アハハッ! 青年! ハツをひいたったよ! 車いすでひき殺したったよ!!」
「馬鹿野郎! そんなもんで人をひき殺せるわけねぇだろ!……つーか、痛ぇ! 早く、俺を車いすに戻せよ!!」
「やだね! バイバイ!!」と逃げ出すミツ。ハツも頭をブンブン振りながら一緒に逃げた。
這いつくばりながら「てめぇ、待てよ! ぶっ殺すぞ!!」って、車いすに乗ってない青年の声が、夕焼け空にこだました。真っ赤な空にこだました。

……って、なんだこの話? つーか、俺、混じってるし。寝よ。


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コメント 3

とばるまん

アハハッ! この野郎! おもしれえもん書きやがって。ぶっ殺すぞ!!
by とばるまん (2005-11-15 15:35) 

PORNO

ハツ! ミツ! アブ! アブアブアブ、アブナーイ(木梨)!!

危ないけどオモシロイ。
by PORNO (2005-11-15 23:03) 

ウエノミツアキ

>広島
2人が実は毎日同じやりとりをしているんじゃないかって、実は確信犯なんじゃないかって、思ったりして。アイツらのネタなんじゃないかって。実はあのあと、2人して大塚で下りて、赤提灯か何かに入って……と、また想像しちゃったけど、長いからやめた。
>府中
木梨……アリか。それはアリか。
by ウエノミツアキ (2005-11-16 00:59) 

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